マクロ対策プロジェクトチームの長嶋修さん(不動産コンサルタント)、大西倫加さん(さくら事務所代表)へのインタビュー後編です。
今回はお二人が活動を共にするきっかけ、クラブヴォーバンと活動を共にするきっかけ、目指す社会のイメージについてお話を伺いました。
CV事務局:
大西さんも広告業界にいらっしゃったとのことですが、お二人が一緒に活動されるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
大西:
私は広告、マーケティング、PR畑を渡り歩いてきまして、小さいベンチャーをクライアントにしたマーケティング企業にいたのですが、その時に長嶋をクライアントとして担当したのが始まりでした。
長嶋が独立してさくら事務所を立ち上げたばかりの頃は事業がうまくいかなかったのですが、その時に起死回生のテレビ出演という出来事がありました。それで、長嶋が「テレビに出演するだけでこんなに広く認知してもらえて、知ってもらえるといいサービスだということが分かってもらえて、依頼が入る。こういう状況を継続的に作りだすことで広く知ってもらうことができるんじゃないか」と考えて、各種PR・マーケティング会社をあたって、私が当時所属していた会社に来たというわけです。
その時、私は不動産・建築業界というのは自分自身経験が無く、担当するのも初めてで、しかも自分で家が欲しいと考えたこともなかったので、業界がどうなっているかということも全く分かりませんでした。さくら事務所や長嶋をPRしていくために色々な話を長嶋から聞いて勉強していくうちに興味を持ち、色々な社会的な課題に対してさくら事務所は私にとって納得できるソリューションを提供している会社で、手前味噌ですけれど素晴らしい活動だし、長嶋の理念や視野の広さにも惚れ込んだというのもあって、さくら事務所・長嶋のPRにのめり込んでいきました。そこでご縁をいただいたというか、長嶋から中に入って専属でガッツリやってくれないか?という話をもらって、それでジョインすることになりました。
長嶋:
10回ぐらい断れたんですけど(笑)
大西:
そもそも私もフリーランスで独立してやっていきたいという思いもあったので、最初は断っていたんですけれども、色々色々諦めずにアプローチしてもらいました。
CV事務局:
クラブヴォーバンと活動を共にするきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
大西:
中谷さんとは広報の仕事をしているときに、まだ媒体にいらしてよく存じ上げていたんですが、早田さんとも親しくなったのは共通の知り合いの飲み会でした。
お互い分野は違いますが、広い意味で日本の不動産市場や人と不動産の関係をより良いものにしようとか、今よりももっと良い住宅や仕組みを次世代に残そうという想いが一緒だったので、やたらと話が盛り上がって、そこからですね。
その後、ドイツに滞在中にヴォーバン5に混ぜてほしいと言った覚えはあるんですが、どうしてドイツに一緒に行ったのかは…
早田:
それは僕が強引に誘いました。ご一緒したかったので、MITツアー(CV代表村上が欧州在住ジャーナリスト池田氏・滝川氏とともに実施している中欧視察)に。いいですよって言ってくれた時は「マジっすか!」という感じで。
CV事務局:
それが2年ぐらい前のことですね。ドイツに一緒に行くとやはり盛り上がりますよね。
さて、お二人は不動産市場を変えることを通して社会全体を変えたいと思っていらっしゃるとのことですが、社会全体のあるべき姿というのはどんなイメージでしょうか?
長嶋:
仕事をすることで自分や周りが五方良しになっていくことです。
仮にお金が存在しない世界があるとすると、そこで自分は何をしているか?ということを考えながら私は仕事をしています。すごく理想的な社会では、水を飲みたければいつでも飲めるし、お肉屋さんに行けばお肉をもらえるし、生活は全く困らないんですね。なぜ私がそういう待遇を受けられるかといえば、不動産のところで社会に貢献しているからです。そんな、全体が最適化された世の中はなかなか訪れませんが、そこを理想としながらやっています。
不動産に限らず、社会経済構造みたいな、そういうところに私は興味があります。今のドイツの省エネによる社会経済構造のスタイルも良いと思いますが、その前に、ドイツでは昔から「どんな世の中がいいのか?」という議論や研究が盛んです。社会経済構造の中に不動産をどう乗っけていくか、という感覚で仕事をしています。
今は良くも悪くも資本主義経済=人の欲望を利用したシステムで、それはそれで色々な効用はあるんですけど、このシステムを続けていきたいんだったら、いいことをやっている人や企業が社会的に認められて売上げも上がる、という形に持っていくことが必要です。
大西:
日本人特有の性格的なことなのかもしれませんが、多くの人が先に対して不安を抱いているじゃないですか。例えば、これで結婚して子どもを持って生活していけるのか?と思ったり、老後に対する漠然とした不安でお金を貯め込んだり。常に先の不安に対して対処するために保険をかけたり、お金を貯めたり、そういう風潮がゼロになるとまではいわなくても、先はわりと明るくて楽しいものだという、そういう根源的な安心感に支えられているみたいな方向にひっくり返せないかなと思っています。
それをするには大きく2つあって、1つは社会保障や税金のような制度を転換していくことが必要だと思います。
もう1つ大きいのは、買った住宅が資産になるとか、あるいは借りて住んでいる住宅も、コストが安価でも安心して長く心地よく住める、そういう住まいの部分が安心できる土壌にあると将来的な不安は軽減されると思います。特に、買った家が資産になると色々な意味で大きな不安払拭につながると思います。
そういう土壌を作れるといいな、それが今、短期的に目指す姿です。
CV事務局:
1人1人が五方良しを体現し、将来を想像してワクワクする…私もそんな世の中で暮らしたいです。
それぞれの仕事や得意分野から、そのための仕組みづくりができればいいなと思います。
ありがとうございました。
お二人の所属する(株)さくら事務所、NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会はこちらです。
▼株式会社 さくら事務所
http://www.sakurajimusyo.com/
▼NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会
http://www.jshi.org/
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