2015年10月19日~20日に持続可能な発展を目指す自治体会議(持続自治体会議)の会員自治体の皆さんとCVスタッフ合計16人で下川町視察を実施しました。
まずは下川町役場でオリエンテーション。
谷町長のご挨拶、参加者の自己紹介、下川町の取組や将来像、戦略についてのレクチャーがありました。
下川町は人口約3,500人、町面積の88%が森林です。豊富な森林資源を活用し、循環型でゼロ・エミッションの林業・林産業、森林と企業・都市をつなぐイベントやサービス、木質バイオマスによる地域熱供給、集住化による集落再生…などなど、持続可能な発展のための様々な取組を行っています。
平成20年に環境モデル都市・平成23年に環境未来都市として選定され、数々のモデル事業を実施。
地方創生の柱はエネルギー自給で、公共施設の熱供給の60%を木質バイオマスを中心とした再生可能エネルギーに転換しています。外部からのエネルギー購入費の削減分は基金として積み立て、再エネボイラーの更新や子育て支援などに充てています。
そんなパイオニア自治体・下川町の取組の現場を見せてもらいました。
1 森林組合北町工場
こちらでは町内の森林から伐採した木を建築・土木用資材や木炭に加工しています。
こちらで行っているのはただの木材加工ではなく、1本の木のあらゆる部位を活用して加工・販売する”ゼロ・エミッション木材加工”です。
木材加工の過程で出てくる木酢液は木材の天然の防腐材に、端材やオガコは調湿剤や融雪剤に…というふうに、地域資源である木を余すところなく活用し、付加価値をつけて販売しています。
さらに、木材だけでなく枝葉も活用。トドマツからエッセンシャルオイルを抽出し、アロマオイル・ミスト、枕、石鹸などに加工して販売しています。どれもとてもいい香りでデザインもお洒落。インターネットでも販売しており、首都圏で人気を集めています。
▼エッセンシャルオイル等はこちらから購入できます(フプの森)
http://fupunomori.net/
2 木質原料製造施設
下川町は森林資源の活用、地域内でのエネルギー購入による経済循環・活性化、CO2排出減などを目的に、公共施設を中心に木質バイオマスボイラーの利用を促進しています。
そこで、林地残材などから安定的に木質チップを製造・供給するためこの施設を整備しました。
ここでは木質原料の受入れ、自然乾燥、燃料製造を行っています。
3 役場周辺熱供給視察
1基の木質バイオマスボイラーから地下配管を通じて役場及び周辺施設へ給湯・暖房用の温水を供給しています。1か所でまとめて熱を生み出して供給することで、施設ごとの設置よりも初期投資が抑えられ、効率的なエネルギー利用ができ、ランニングコストも抑えられるようになります。
4 エコハウス(環境共生型モデル住宅)
地域材をふんだんに使用した省エネ住宅です。従来の3倍の厚さの断熱材やトリプルガラスの窓などを使用した断熱性能の高い建物と地中熱ヒートポンプやペレットストーブ・ボイラーなどの自然・再生可能エネルギーを利用した設備で、冬は-30℃にもなる厳しい環境でも少ないエネルギーで快適に過ごすことができます。
下川町では地域材住宅の普及や住宅施策でもユニークな取組を行っています。地元の工務店グループで構成する“下川ECOな家づくり研究会”は建築家や研究機関とも連携して性能・地域材活用・デザインの独自の基準を定めるなど新たな家づくりの仕組みをつくって運用しています。
ここで立命館大学のラウパッハ・スミヤ ヨーク教授から、「地域における再エネによる経済価値の創造」についてレクチャーをしていただきました。
5 五味温泉バイオマスボイラー
平成16年度に北海道で初めて導入された木質バイオマスボイラーです。
温泉宿泊施設の給湯暖房用に温水を供給しています。
6 一の橋バイオビレッジ
超高齢化に対応し、かつエネルギー自給型の新たな集落再生を図るエリアです。
地区中心部の木質バイオマスボイラーにより26世帯の集住化住宅、住民センター、カフェ、椎茸栽培施設・薬用植物育苗・コンテナ苗栽培試験ハウス、障がい者支援施設に熱供給を行っています。
一の橋地区は林業の衰退、JRの廃線などにより人口流出が顕著で、基幹産業がない・生活環境が悪化(商店の廃業)・住民の高齢化など課題が多い限界集落でしたが、エネルギーの自給・集住化・新たな産業の創造によって再び活性化されています。
最後にディスカッション。
下川町の集住化、各地域の魅力を高めるまちづくり、各自治体の課題やこれからすべきことなどを全員で議論しました。
自分の地域に合った方法で地域資源を活用し、付加価値を高め、経済循環を生み出すこと。
今回の下川町視察が参加自治体のより魅力的なまちづくりにつながることを楽しみにしています!
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