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エネルギー自立地域経済好循環 × イノベーション 
                 持続可能なまちづくり

5月20日「持続可能な発展を目指す自治体会議・臨時会」を開催しました

前回は、一社地域政策デザインオフィスの田中信一郎氏の「行政のタテ割りとヨコ割りを内部から突破する」のインプットで、「急速に人口が減少する時代における自治体の役割は、減少していく行政資源で、増加していく前例のない課題を解決する、というこれまでに前例のない難しいことをやっていかなくてはならない」という認識共有や、行政など日本の組織によくありがちな、タテ割りの例や弊害の具体例、発生原因の具体例を挙げつつ、それを打破するための具体的な方法論や参考図書が紹介されました。また、地球温暖化対策に向けた取り組みについて、すでに自治体を上げて具体的な取り組みを始めている北海道下川町・ニセコ町、鳥取県北栄町から、事例の詳細発表と、悩みの共有や課題、質疑応答などの場を設けました。

 

それを受け、今回は、住宅の省エネについての現状と今後の展開について、埼玉県横瀬町から取り組みの発表と悩みの共有があり、クラブヴォーバンメンバーやオブザーバーの省庁関係、地域電力、大学や研究所などの専門家の方々から、制度設計についてのアドバイスや意見の交換がありました。代表の村上からは、2050年CO2排出量ゼロの社会では「気候中立を前提とした新しいエネシステム」になるため、今後どのような「ゲームチェンジ」が日本でも起こっていくか、ドイツで実際に起きている事例などを紹介し、「今後社会動向を見据え、今すぐに、本当に実効性があるCO2削減のための対策や施策を打たなければならない、去年までの延長で、今年や来年、これまでと同じ施策をやっていてはいけない」とのインプットがありました。

 

 

まず代表理事の早田より、開催の挨拶。日本も、重い腰をようやく上げてゼロエネルギーを言い始め、河野太郎さんがタスクフォースで言い始め、建物の断熱の分野でようやく少しずつ温暖化対策が日本でも進んでいくようですが、その動きなどに期待したい。ヨーロッパはCO2削減の取組みが増々加速している中、日本は取り残されていると感じています。今携わっているニセコ町のSDGsモデル街区の事業の周辺で、法さえ守っていればいい、ということで乱開発が進んでいるのを間近で見るにつけ、日々悩んでいます。ぜひ、この「持続可能な発展を目指す自治体」のみなさんは、できることとできないことはあるとは重々承知しているが、できることを始めていきましょう、とのことでした。

 

今回は埼玉県横瀬町から「住宅エコリフォームについての現状と今後の展開」について発表がありました。町の人口は8千人、日中と夜間の温度差が大きく、夏熱く冬寒い地域です。町の目指す将来像は、「日本一住みやすい町」「日本一誇れる町」「カラフルタウン」。数年前からこのクラブヴォーバンの持続会に参加し、他の参加自治体の取組みを参考に、環境関係の補助金制度の見直しを行ってきましたが、さらにこれから見直しをかけたいとのこと。「町民の住環境の向上」「クリーンエネルギーの普及」「空き家の活用促進」を目的とした「住宅環境改善及び空き家活用促進補助金」制度などについての説明があり、現状の悩みや課題などが共有されました。また、他の参加自治体からも、温暖化対策に向けての補助金制度の紹介がありました。これら制度が、地域経済を活性化しながらCO2排出を大幅に削減していくために、もっと住民に活用され意味のある取り組みになるように、地域の事業者が高性能の建築や改修のスキルアップができるように、限られた予算とマンパワーの中でどんな手法やアイデアがあるのか、CVのメンバーやオブザーバーの方々から、意見やアイデアが活発に出されました。

 

次に代表の村上から、「ドイツの暖房・給湯などの設備機器における 気候中立への道」について。日本でもようやく、2050年にCO2削減の目標値を排出量ゼロと言い始めました。今日の省エネ改修や設備の話ともつながりますが、2050年に気候中立を考えるのであれば、現段階ですでに皆さん本気でやらないといけない、今から建つ新築は、そろそろ2050年ゼロカーボンのモデルになっていないといけない、とのインプットでした。1990年代、ある雑誌で、「ワープロが今後も存続するか?」についての業界公開質問状に対し、「ワープロがすぐなくなる」と回答した業者やキーマンはゼロ。その数年後、世の中からワープロは消えました。その業界のその先端にいる人たちが、気づかないうちに社会が変わってしまった典型で、社会が4、5年で全く変わってしまった、この「ゲームチェンジ」の事例や、約20年ドイツで起こった、エネルギー産業や自動車産業における「ゲームチェンジ」の事例が紹介されました。

 

今後、日本の家電や灯油や自動車など、「気候中立を前提とした新しいエネシステム」に代わってゆき、劇的なゲームチェンジが起こり、それを加速させるために、ドイツで今年から始まった「炭素税」が、恐らく日本でも数年後に導入されていくでしょう。そして、この「持続可能な発展を目指す自治体会議」に参加されている先進自治体の皆さんは、早めに社会動向を見て「ゲームチェンジ」に備え準備をし、国が言った2050年カーボンゼロ目標より、前倒しで取り組まなければなりません。例えば、新築の家を建てる時に、断熱気密をしっかりやった上で、冷暖房システムがネットワーク型になっていないといけません。寒い時は灯油を使えばいいというのでは、2050年カーボンゼロの家になりません。そのためには、早め早めに対策し、昨年までの取組みの延長ではなく、今年・来年で新たな取り組みや助成金の見直しなどを行ってください、とのインプットでした。

 

クラブヴォーバンでは、2050年カーボンゼロ社会を見据えた地球温暖化対策について、自治体の方が今考えている制度をよりよいものにしたり、次年度の取組みのヒントになるようなプログラムを考え、この持続会を開催しています。